このコラムでは「カカオ豆からチョコレートを作る」工程を解説します。市販のチョコレートを溶かして好みの形にするという作業をやったことがある人は多いと思います。しかし、豆から作るとなるとやったことが無いという方が大半でしょう。持っている道具によって作業時間も変わりますが、「チョコレートを知る」、という意味で非常に楽しいので、ぜひチャレンジしてみてください。
1.必要なものをそろえよう!
まず必要なものをそろえましょう。材料はスーパーや輸入食材を扱うお店などで売っているところもありますが、決して多くはありませんから通信販売で購入した方が早いかもしれません。最近はカカオ豆からチョコレートを作るキットが1000円代で販売されているので、それを利用するのも良いでしょう。
取り敢えずここでは、一つ一つそろえる前提で紹介します。まずは板チョコ3枚分の材料がこちら。
・生カカオ豆…150g
・ココアバター…60g
・砂糖…70g
・全粉乳…70g
続いて道具類です。
・すり鉢とすりこぎ
・ミルサー(無くても可ですが米粉などを作れるような強力なものがあれば非常に望ましい)
・チョコを流し込む型
・ガスコンロ(カセットコンロでも可)
・焙煎用の網、またはフライパン
2.下準備をしよう!
生カカオ豆を単品で買った方は下準備が必要です。まずカカオ豆をバットなどに平らに広げて、虫食豆や欠けがあるもの、未成長のものを取り除いてください。この作業を行うことで雑味を減らすことができます。
次に豆を洗います。これは豆の表面についた汚れなどを取り除くためで、やはり雑味を取り除く効果があります。
この時50℃くらいのお湯で洗うのが望ましいです。汚れを落とす目的なので出来れば流水で、流水が無理な場合は最低でも3回くらい水を変えてください。両手を使って揉むように洗えば汚れは取れやすいですが、お湯を使うので火傷には十分に気を付けてください。
その後30秒くらいお湯に浸した後、焙煎に入ります。
※この工程はキットを買った人、焙煎済の豆を買った人は必要ありません。
3.焙煎しよう!
焙煎用の網を使う人は水に浸したあとの水分はそのままで構いませんが、フライパンを使う人は表面の水分をキッチンペーパーなどで拭きとって下さい。網なら余分な水分はすぐ飛んで、「蒸す」ことで豆の表面が焦げずに中まで熱を通してくれます。フライパンだと水分が多いと「煮る」ことになってしまい、焙煎にならないので水分をふき取ります。
網でもフライパンでも、豆をぐるぐる回しながら過熱します。時間は豆の大きさや水分、加熱具合にも寄りますが、20分くらいはかかると思ってください。
目安として以下の点に気を付けましょう。
・青臭い香りが香ばしい香りになること
・水分が抜けて弾ける音がした後、豆をゆすった時乾いた音がすること(ガサガサという感じからカサカサというイメージ)
・時々豆を取り出して、パキッと割れること(水分が抜けていないと割れにくく、割れてもぐにゃっと割れる。熱した豆を触る時は火傷に十分気を付けてください)
・表面に炎が上がらないようにすること
・炭化してしまわないように熱し過ぎに注意すること
4.皮をむきます
焙煎が終わってもすぐには熱くて触れないので、バットなどに平らに広げて冷ましてください。触れるようになったら皮をむきましょう。軽くつまんで指先でひねるとパリッとむけます。
香りが良いので食べてみたくなると思いますが、この時点では甘みが無いので「美味しい」と感じる人はいないでしょう。
身が割れても問題はありません。炭化している豆があれば取り除いてください。熱いので火傷には十分に気を付けてください。
5.砕いてすりつぶす
ミルサー、フードプロセッサーなどを持っている人は機械で粉砕、微粉化してください。ただし、カカオ豆は粘度が高いので無理をすると機械に過負荷がかかり、モーターが焼き切れてしまいます。ごく少量から試して、負荷で止まるようならすぐに中断して量を減らしてください。
ここでミルサーの能力で工程が以下のように分かれます。
・機械が強力なら機械だけでほとんど終了…30分程度
・機械がある程度使えれば、すり鉢と併用…1時間~1時間半
・機械が使えない場合、すり鉢で頑張る…2時間~3時間
チョコレート作りでこの工程が一番苦労します。特に機械が弱い場合、一人でやっていると苦行のようになってしまいます。何人かで交代しながらワイワイやる、音楽やテレビ、気に入った動画を見ながらやるなど、気軽に進めることをおススメします。(いっそ最初からホームパーティなどの罰ゲーム的位置付けにするというのも面白いかもしれません)
この工程が雑だと仕上がりがザラザラになるので、「気合」で頑張りましょう! 冷えると効率が下がるので時々電子レンジで軽く温める、またはすり鉢を熱した布巾やタオルで温めるなどしてください。
最初はザラザラだったものが、徐々にサラサラになり、しっとりしてきます。「する」より「練る」という程度になるまで頑張りましょう。
6.砂糖と全粉乳を混ぜる
砂糖と全粉瘤(スキムミルクでも可)をすり鉢のカカオ豆に投入して練ります。なめらかに、均一になるまで練ってください。この時も温めたタオルですり鉢の温度を上げながら進めましょう。
7.ココアバターを入れて練る
湯煎して液状にしたココアバターを加えてさらに練ります。50℃程度に湯煎しながら1~2時間程度練り、一端冷水で冷まし、再度50℃に温めて練る、という工程が理想的です。これを行うことで滑らでツヤがあるチョコレートになります。
時間的にそこまではムリ、という人でも、ムラが無い程度に練ってください。
8.型に入れて冷やせば出来上がり!
型に入れてから空気を抜くために、しっかりした台の上で、トントンと叩いてください。それから冷蔵庫に入れて数時間冷やせば完成です!
9.まとめ
カカオ豆からチョコレートを作る工程を解説しました。する工程で時間と手間がかかりますが、慣れれば投入する砂糖やカカオバターの量などで好みのチョコレートが作れるようになります。
コーヒーなら豆の産地や焙煎具合にこだわるのは既に普通のことですが、カカオ豆の産地や焙煎具合を語り、製作スキル持っているというのはかなりレアなので、話題作りにも趣味にも非常に面白い作業です。ぜひチャレンジしてみてください。